Domains (Japanese)

臨床研究専門職のための調和のとれたコアコンピテンシー(核となる専門的能力)領域

領域 1:科学的コンセプトと研究デザイン:臨床試験のデザインと分析に関わる科学的概念についての知見

臨床試験のデザインと分析に関わる科学的概念についての知見。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 生物医学系製剤の発見・開発および健康に関連する行動介入試験に科学的原理を適用する必要性を認識する
B1. 臨床試験または行動学的研究の実施時に科学的原理を
適用する
C1. 科学的原理に基づいて生物医学研究を計画する
A2. 生物医学系製剤の発見・開発および健康に関連する行動介入試験に適用すべき基礎的な科学的原理について説明する B2. 科学的原理とプロトコルデザインに基づいてデータ収
集を実施する
C2. 科学的原理に基づいてデータマネジメント計画を構築する
例:プロトコルのレビューの際に生物医学的研究のデザイン・実施に使用する科学的な手法と目的を説明する 例:プロトコルにおいて、データ収集方法に関してどの原則が影響するか識別し、それに応じた最良の方法によって実施する 例:プロトコルと収集済みのデータについて発見したこと
を評価し、科学的な枠組みを通した結果の判定を行う
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 試験の目的を明確に述べるB1. プロトコルにおける研究仮説を特定する C1. 科学的原理に基づいて生物医学研究を計画する
A2. 試験の重要性を説明する B2. アウトカム測定のためのデータ解析に用いる評価項目(主要および副次的評価項目)を特定するC2. 科学的原理に基づいてデータマネジメント計画を構築
する
例:選択したプロトコルにおいて以下の要素に
ついて識別する:
試験表題、試験の主要目的、本試験実施の重要性は何か、試験の対象となる母集団は誰か
例:プロトコルにおいて、目的と仮説の検証に使用する
安全性・有効性関連のエンドポイントについて説明・分類し、エンドポイントの測定に使用される
(臨床、社会的/行動学的、または経済的) 評価項目について識別する。
例:プロトコルと収集済みのデータについて発見したこと
を評価し、科学的な枠組みを通した結果の判定を行う
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. プロトコルにおける主要要素を特定する B1. プロトコルをレビューし、全ての必要要素が含まれ
ていることを確認する
C1. 臨床試験デザインを評価し、必要に応じて実施手順を調整する
A2. 試験の重要性を説明する C2. 各疾病領域に適したプロトコルを作成する
A3. 種類の異なる臨床試験の基本的な違いを認識す
C3. 試験設計の強みと弱みを評価し、説明する
例:プロトコルにおいて、模擬被験者において選択除外基準を識別する例:プロトコルにおいて、不足箇所、不完全な箇所、不適切な箇所について識別する例:プロトコルにおいて目的と手段に齟齬がある場合適切にプロトコルを修正する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 試験結果を理解する B1. 試験報告書や文献に記載されている結果の質のレベル
を比較し評価する
C1. 結果の適用可能性を判断する
A2. 研究課題に対する結果の関連性を説明するB2. 記述的分析・探索的データ解析を理解する C2. 臨床試験データの傾向と偏差を特定する
例:試験報告書について、試験の結果を言い換え、要約する例:同様の研究テーマについて2つの研究論文がある場合に、何が影響を与え、データをどのように解釈できるかに2つを比較し、対比させる例:収集したデータについて医薬品安全性監視の観点から評価し、データの齟齬を埋めるためのクエリを作成する

倫理面および被験者の安全への配慮

臨床試験の実施における患者のケア、被験者保護、安全性。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 臨床試験は未確証な研究段階のものであり、既
に実施されている標準的治療とは異なることを説明する
B1. プロトコルに従って臨床試験を実施することの重要性を明示する C1. 研究固有の手順と標準的治療を明確に区別して組み込み、プロトコルを作成する
例:プロトコルの一部に含まれている手順は必ずしも標準的治療ではないことを被験者に説明する例:臨床のスタッフにシフト中の研究のための採血のタイミングと通常の採血のタイミングを対比させて説明する例:実施項目に応じて保険請求すべき費用と試験依頼者への請求に含める費用を適切に区別する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 臨床的均衡と研究の治療的誤認(治験と治療の混同)は臨床研究の根幹となる基本の倫理的原則であり、懸念事項であることを認識する B1.臨床的均衡と研究の治療的誤認(治験と治療の混同)の論理的根拠を説明し、それについて包括的な知識を持っていること、および患者の理解にどのような影響を与えうるかを理解していることを示すことができる C1. エキスパートとしての役割を担い、被験者候補とスタッフに臨床的均衡と研究の治療的誤認(治験と治療の混同)への理解を促す
B2. 試験中一貫して臨床的均衡と研究の治療的誤認につい
ての知識を適用する
B3.臨床的均衡と研究の治療的誤認について、被験者の懸念に対処が必要となる場面を認識・解釈し、必要な支援を求める
例:2つの対照治療について識別し、なぜその2つが対照治療として選択されたかを協議する 例:インフォームドコンセントのプロセスにおいて、被験者候補が試験は研究であり、予測通りの結果が得られるものではないことを真に理解しているかどうかを判別する 例:臨床的均衡と研究の治療的誤認(治験と治療の混同)に関してプロトコルを解釈し、院内(社内)教育の実施を主導する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. いかなる地域においても、臨床試験に参加すB1.プロトコル内における、被験者保護とプライバシーの確保の原則を客観的に吟味し実施する C1. 世界のどの地域で実施される臨床試験においても、被験者のプライバシー・安全・福祉・権利を守るために必要な活動を管理・監督する
C2. 臨床試験における被験者のプライバシーと安全を確保する方法に関して、規制機関(IRB :Institutional Review Boardや倫理審査委員会)からの質問に答える
例:プロトコルにおける募集や同意プロセスにおける、自主性、正当性、善行の例について識別する 例:すべての適切な母集団を組み入れられるよう、募集戦略をデザインする 例:審査のために提出する予定の臨床試験において被験者に対する守秘義務を確実に順守するための計画について担当機関(IRBや倫理審査委員会)に説明する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 現在のインフォームドコンセント規制に至っ
た歴史的経緯を理解する
B1.インフォームドコンセントのプロセスにおいて、臨床試験の利益だけでなく、潜在的なリスクや危険性についても、被験者候補が理解できる方法と用語を用いて伝えることの重要性を認識する C1. 全試験において被験者保護のための規制要件を満
たすことを徹底するためのプロセスと管理手法を実装する
A2.臨床試験において被験者保護を徹底するために必要となる重要な文書を特定する(ヘルシンキ宣言、ベルモントレポート、CIOMS、ニ ュルンベルク綱領、ICHガイドライン、治験薬概要書、医薬品添付文書などB2. 臨床試験のためのインフォームドコンセント文書案を作成する際、これまで明らかになっている安全性情報と合わせ、主要な規制およびガイドラインの原則を適用する C2. インフォームドコンセント文書が現在の規則・ガイドラインに準じているだけでなく、被験者候補が試験に参加するかどうかを判断するために必要な、プロトコルに関連する十分な情報を提供するものとなっているかを評価する
例:ベルモントレポートの3つの原則、FDA規制とICHガイドラインの違いを識別し、説明する。例:臨床試験に合わせてインフォームドコンセント文書を作成し、被験者にとって理解できる表現でリスクとベネフィットの可能性を記載する 例:被験者保護を確実にするために効果的な役割を担うIRB委員として従事する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. どのような集団が社会的弱者とされるのかを特定する B1.被験者に対し、適切な保護策を正確に適用するC1. 対象となる集団が適切な保護を受けられている
か、あるいは更なる保護策が必要かを判断す
るために、プロトコルを評価する
A2.規制が社会的弱者とされる人々を守るためのものであることを理解する B2. 被験者が社会的弱者とみなされる状況を予測するC2. 社会的弱者の集団が自身で最善の意思決定をしたう
えで臨床試験に参加できるような方策を立案する
C3. 社会的弱者である集団の試験への参加に影響を及ぼ
す固有の状況を評価する
C4. 社会的弱者である集団がIRBまたは規制当局からの特別
な配慮を必要とするかどうかを評価する
例:以下のような集団が社会的弱者であることを理解する:小児、受刑者、妊婦、精神疾患患者、経済的または教育水準的に不利な立場にある人々
その上でそれぞれの集団に対する追加の保護策について正確に説明する
例:社会的弱者についての知識を被験者の同意プロセスへ適用する。社会的脆弱性を特定し、被験者保護のために保護策を適用する 例:社会的弱者集団を対象とした研究・試験の被験者募集や保持の過程において被験者を保護するための戦略を策定する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 新薬開発のための国際共同治験を行う際に背
景にある文化的多様性を認識する
B1.世界各地の異なる地域において実施される臨床試験の指針となる倫理原則を比較し、違いを明らかにする
(ICHガイドライン対FDA規則、他国の規則との比較など)
C1. 各地域の異なる文化的視点や地域ごとの倫理的な課題を認識し、そのような概念を臨床試験に取り入れることを保証する
A2.異なる文化を持つ人同士の関係性を理解する能力(cultural competency) に対する考え方と、それが多様性のある集団での臨床試験の運営にどのように影響するのかを説明する B2. 臨床試験を低中所得国で実施することの利点や懸念を精査し、国際共同臨床試験を実施する際に低中所得
国の人々が直面しうる搾取や利益の (他の国々との)違いを明確化する
C2. 治療候補への平等なアクセスを提供する必要性を適切に考慮し、治験実施地域の選定のための戦略を立案する
例:グローバル規模での医療開発チームに貢献する一員として業務に従事する例:臨床試験が必要なインフラ(冷蔵保管施設など)が整った場所、かつ製品が販売される予定の地域でのみ実施されるよう助言する 例:被験者候補の健康ニーズを考慮し、また治験終了後の治験薬へのアクセスを確保し、グローバルでの医薬品開発プログラムをデザインする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 年齢、性別、病気の種類やステージ、治療歴、その他の病状により、被験者が安全に試験に
参加できるか否かを研究チームが判断するための被験者の適格基準(被験者を選択・除外するためのものなど)を理解する
B1.プロトコルに定義された基準に基づく均質な患者集団の必要性と、プロトコルに基づいた一貫性のある被験者募集の必要性を明確に述べる C1. 新しいプロトコルの作成にあたり適格基準を作成し編
集する
A2.レジストリやアンケート調査等の複雑ではない試験における被験者の適格可能性を判断する B2.選択・除外基準からの乖離がデータの質と試験の有
効性に及ぼす影響を説明し、結果をどのように一般化できるのかを説明する
C2. エビデンスや過去の経験に基づいて設定した選択・除外基準の論理的根拠を説明する
B3.選択・除外基準が適切に適用されるための資料(ガ
イダンス文書、被験者募集計画等)を作成する
B4.施設実施試験(生物医学、介入試験等)に参加する被
験者の適格可能性を判断する
例:今後の臨床試験に向け、サンプル症例集から選定除外、適格性基準を確認する例:試験の監査において適格性ガイドラインからの逸脱を確認し、起こりうる結果について説明し、次の対策として必要な事項について協議する 例:新規の治験において適格性に関するリスク評価とリスク低減計画を作成し、通常の施設監査で発見された逸脱に対する是正・予防措置戦略を立てる
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. リスクとベネフィットのバランスを適切に保つために必要なプロセス(選択・除外、試験方法、有害事象の判定と記録、試験の継続など)を理解する B1.リスクとベネフィットのバランスを適切に保つために必要なプロセス(選択・除外、試験方法、有害事象の判定と記録、試験の継続など)を実施する C1. リスクとベネフィットのバランスを適切に保つために必要なプロセス(選択・除外、試験方法、有害事象の判定と記録、試験の継続など)を構築する
C2. 被験者の選択から管理までの一連の流れをデザインおよび/または監督する中で、常にリスクとベネフィ ットの原則と方法をわかりやすく説明する
例:プロトコルに関連する顕在的・潜在的な臨床上のリスクを特定し、リスク評価活動を被験者の来院時に継続して実施する 例:被験者の募集・保持の戦略に基づいた計画またはインフォームドコンセントに紐づく主要なリスクとベネフィットの構成要素を特定する例:リスクとベネフィットのバランスを保ち、そして分散させるための原則と方法を組み込んだプロトコル、インフォームドコンセント、被験者募集・保持計画を独力で構築する

治験薬の開発および規制

治験薬の開発・規制の仕組みに関する知識。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 現在の規制状況(FDAおよび国際的なガイドライン)に影響を与えた重要な過去の出来事を特定するB1.FDA規則、ガイドライン、及び国際的なガイドラインに関連して、規制プロセスやガイドラインに影響を与えた近年の出来事について理解していることを示すC1. 既存の規制やICHガイドラインの改訂を予測し、および/または改訂を適用するための計画を作成する
C2. 作成中または現行のガイダンスや規制について内部スタッフ、責任医師、その他のステークホルダーを教育し、治験チーム全体の治験遂行を支援する。(例:最新版のICH E6に対応するためのトレーニングに関する記録等)
例:なぜ場合によっては臨床試験に妊娠の可能性のある女性に対する選択除外基準が設定されるのかを理解する例:FDAガイダンスでの、臨床研究におけるゲノミクスに関する記載箇所を特定し、説明する例:FDA規制とICH GCPに確実に準拠するため、新規治験のためのリスクベースドモニタリング計画を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.責任医師、治験依頼者、CRO、規制当局の責任の違いを特定するB1.治験薬開発に関わる各機関(責任医師、治験依頼者、CRO、規制当局)の役割と責任を一覧にするC1. プロトコルを評価し、様々な施設・組織間で必要な協力体制を決定する
A2.プロトコルの承認、リスクの評価、例外的対応への判断、におけるIRBの役割を示すB2.治験薬管理部門(Research Pharmacy)やデータ安全性モニタリング委員会(Data Safety Monitoring Boards)などのモニタリングを行う組織の責任範囲を認識するC2. 研究プロジェクトを完遂させるために必要な施設の役割と責任を定義する
例:FDA1572(Statement of Investigator)に記載されている治験医師の役割や、治験依頼者からCROへの責任の委譲について説明する例:IRBがプロトコルの承認、リスクの評価、例外的対応への判断を行うプロセスと必要な情報を説明する例:多施設共同治験でモニタリング業務をCROに依頼する際に、ニーズを評価し、提案依頼書を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1. 医薬品ライフサイクルマネジメントプロセスにおける治験薬開発の概念、主要要素、目的を理解するB1.医薬品ライフサイクルマネジメントプロセスにおける治験薬開発の概念、主要要素、目的を解釈し、実行するC1. 戦略的な治験薬開発計画および医薬品ライフサイクルマネジメント計画を作成する、または既存の計画を評価する
C2. 規制当局と共同で治験薬開発計画の調整を行う
C3. 医薬品、バイオ医薬品、医療機器の承認プロセスの違いを理解する
例: 基本的な薬剤の開発・承認プロセスを理解し、アメリカ国内で医薬品を販売するにはFDAの承認取得が必要であることを認識する。施設における治験薬の追跡記録や症例報告書を適切な状態に維持し、治験薬概要書または治験機器マニュアルの情報を熟知している例:治験薬等を使用する臨床試験でIND(治験薬)、IDE(治験用医療機器)又は(治験薬)適用除外通知が必要かどうかをFDAのウェブサイトを使用して判断する例:新規治験薬のオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定の依頼を計画し、依頼書を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.治験薬の開発と届出に関わる適切な規制ガイドラインへのアクセス方法、および各地域でそのような製品を登録するために必要な臨床試験のプロセスについて説明する(US-FDA、Europe-EMA、UK-MHRA)B1.複雑な臨床試験の実施時に、US・EMA・その他の連邦政府による規制のための法律やガイダンスを説明し適用するC1. 試験参加者の安全と権利を担保するために、どのようにICH GCPや承認済みのプロトコル、治験依頼者の標準業務手順書を調和させるかを含め、 関連当局や規制関連の枠組みについて監督し指導する
A2. 被験者保護とICH GCPガイドラインについての基本的知識があることを示すB2.承認されたプロトコル・治験依頼者の試験に関連する標準業務手順書の要件を解釈・説明するC2. 施設での試験実施の進捗、また試験が地域・国・国際規制の枠組みに沿って実施されていることをモニターし、試験の実施時にこのような要件を満たすことができるようサポートする
B3. 試験に関連する標準業務手順書と報告書を作成・編集し、そして/または関連する規制当局による試験の承認に向け提出する
例: 以下の事項に関連する各国のガイダンスにアクセスする:
  インフォームドコンセント、薬剤の開発と承認、IRB/倫理審査委員会、利益相反、治験責任医師の責務、治験依頼者の責務
例: 規制やガイダンスが、ICH GCPの要件や医学研究規制当局の承認プロセス、研究倫理審査委員会の承認との調和の下にどのように適用されるかを、試験で実施した事項に関する広範に渡る記録や、治験責任医師施設(必須文書)ファイルの維持・管理を通して説明する。例:トレーニングの指針、文書、チェックリストを作成し、試験に従事するスタッフが特定の試験において該当する規制の枠組みを確実に遵守できるようにする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.前臨床試験と臨床試験の内容・目的を説明し、どのようにIND(Investigational New Drug)・NDA(New Drug Application)・CTA(Clinical Trial Authorization)・BLA(Biologics License Application)の申請に繋がるかを説明するB1.フェーズ1-3の臨床試験の実施に積極的に参加するC1. 前臨床試験または臨床試験のプロトコルの円滑な実施可能性と、必要となるリソースを明確に述べる
A2. フェーズ1-3のデータがどのようにINDとNDAの申請に繋がるのかを理解するB2.IND、NDA、BLAの目的の違いを認識する。また、臨床開発の各フェーズの違いとそのフェーズごとに得られる知見との関係性も認識するC2. 規制当局への申請(IND, BLA, NDA等)または臨床プログラムに繋がるための前臨床試験またはプロトコルの開発・臨床的計画策定・実施を監督する
例:NDA(New Drug Application)の申請に必要な文書の収集に参加する例:治験薬概要書を使用して、治験に安全性に対するどのようなリスクがもたらされる可能性があるかを理解し、予測する例:データを解析し、フェーズⅠ試験データの解析後に継続か中止かを決定する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.製造販売承認前の試験と販売承認後の試験において義務付けられている有害事象報告の違いを特定するB1.臨床試験実施時に発生する有害事象の発生頻度を評価し、責任医師と協力し有害事象を分類するC1. 安全性データ(安全性シグナルやサーベイランスシステムからのデータなど)を特定し解釈する
A2. 有害事象の分類別に設けられている報告義務を理解するB2.適用する要件と報告期限に沿って有害事象報告書を作成し提出するC2. 地域差が存在する可能性のある安全性に関する報告義務を比較できるよう助言し指導する
C3. REMS(Risk Evaluation and Mitigation Strategy:リスク評価・リスク低減)プログラムに準拠する
例:「重篤」に分類される基準に該当する有害事象を識別する例:例:原資料と適切なコード化のための用語集を使用して、有害事象を識別、分類、コード化する。
3.7 医薬品の承認と規制に関して発生する問題とその世界的な波及による影響を評価する
例:承認前・承認後両方の安全性報告に関連する問題の連絡先としての役割を担い、関係者と協力して規制当局からの安全性報告に関する問い合わせに対応する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.様々な国の規制が医薬品承認プロセスに影響し得ることを理解するB1.各地域の規制を比較し、またその違いがどのように試験の実施や医薬品承認審査に影響を与え得るかを比較するC1. 国際共同治験を実施するための戦略を立案し実践する
C2. 製造販売承認申請において必要な審査と承認を最適に行うためのグローバルな戦略を立案し実施する
C3. 複数の国で医薬品の承認を得るために必要なリソースを分析する
例:多地域で実施される試験ではGCPを順守しなければならない一方で、その他の規制は国ごとの異なる可能性があることを理解する例:各地域の規制を比較し、またその違いがどのように試験の実施や医薬品承認審査に影響を与え得るかを比較する例:他国で当局への申請を行う際にはアメリカで同様の申請を行うよりかなり多くのリソースを要する可能性があることを理解し、ICH,EU,WHOなどの国際的な調和の取り組みに沿った戦略による医薬品の承認取得の際の障壁を取り除くため、代替となる複数の解決策を提供する

臨床試験の実施(Good Clinical Practice: GCP)

試験管理とGCPコンプライアンス。安全性管理(有害事象の判定と報告、医薬品市販後調査(PMS)、医薬品安全性監視)、治験薬の取り扱い管理。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.プロトコルを読み理解することで、新規の介入の開発と、相互に関係する試験のゴールおよびデザインとの関連性を特定するB1.新規の治療介入を開発する目的と、それに関連する試験のゴールおよびデザインが確実につながるように、プロトコルをレビューしコメントするC1. 新規の治療介入を開発する目的と、その試験のゴールが正確につながるように、独力で臨床試験をデザインする
B2. 試験デザインについて積極的・受動的に意見を述べ、共有するC2. 後輩・若手の臨床試験デザイン担当者を教育・指導・監督する
例:結果が信頼できる、正当性のあるものとなるように、臨床試験の選択バイアスを避けるためのプロトコルの手順を識別する例:作成の初期段階において、プロトコルをレビューし、本質的な修正・編集についてコメントする例:該当する規制要件、予算の範囲、バイアスのない安全性と有効性の証明の観点から実行可能な治験を独力でデザインする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.GCPの基本原則を説明するB1.GCPの原則がどのように臨床試験に組み込まれているかを説明するC1. 臨床研究の実施にGCPガイドラインを適用する
A2. 施設や組織・規制やGCPで定義されている通りに、臨床開発チームにおける自身の役割を説明する。また、他者の役割を認識するB2.連邦の規制やGCPに定義されている通りに、IRBや治験依頼者の役割と責任を説明するC2. 臨床試験チームの全メンバーの役割をレビューし評価する
A3. 権限の委譲と実施の範囲について理解するB3.GCPガイドラインに沿って役割を果たすC3. 臨床試験チームメンバーを監督する
C4. GCPの遵守を徹底するため、臨床研究の監査を実施する
例:自身の役割と責務について明確に述べ、臨床試験の業務における個人の役割の限界について説明する例:臨床試験チームのメンバーが各自の責務を果たせなかったときにその状況を正確に認識・報告し、誰に支援を求めるべきかを判断する例:複数の臨床研究・試験で適切なチームを組織、管理・監督、マネジメントする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.トレーニングを受けた後、ICH GCPガイドラインが、プロトコルのデザイン、臨床試験実施時の手順、試験に関係するデータの収集にどのように組み込まれているか説明するB1.プロトコルの実施に貢献し、最小限の管理監督を受けて、試験実施とデータ収集がICH GCPガイドラインに沿って行われていることを保証するC1. 臨床試験の運用がICH GCPガイドラインを遵守して行われていることを保証する
C2. 臨床試験の実施時に発生するコンプライアンス関連の問題を適切に解決する
C3.試験を実施する担当者が適切な研修を受けていることを確実にする
例:ヘルシンキ宣言に含まれる概念と、それらがプロトコルにどのように組み込まれ、試験中、確実に倫理面や標準的な質を維持するために被験者に対してどのように実施されるのかを説明する例:国際的に認められたガイドラインを使用して臨床試験を確実に実施・報告・記録することと同様に、プロトコルにおいてデータを生成・収集するチームを主導する例:臨床研究・試験の実施期間を通して常にICH GCPが順守されているかどうか、また試験期間中のどのような時に倫理面・質の担保の概念から適切な指導者や教育担当者が必要となるのかを判断し、確実に対応する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験の実施にあたり国際的な規制機関の役割を説明するB1. 臨床試験の実施時に適用される国別の規制を特定する作業をサポートするC1. 国際共同試験の実現可能性を判断するための方法や手順を作成する
A2. 様々な国の規制当局とその国に特化した規制を特定するB2.様々な国の規制当局への臨床試験の申請要件に沿った方法や過程を適用するC2. 適切な承認申請の要件と試験の申請時期について見極め、スケジュールを決定する
A3. 医薬品、バイオ医薬品、医療機器に対する国際的ガイドラインの違いを認識するC3.試験実施施設候補の特定と臨床試験の開始・実施に関わる国際規制の全体像を指導・教育する
例:アメリカとヨーロッパにおける治験用医薬品の開発と販売に関する規制やガイドラインの違いを識別する例:多施設国際共同試験の実施可能性調査に際して、各国規制と国際ガイドラインの知識を適用する例:今後の多施設国際共同試験における試験実施申請、データの共有、臨床検体の取得について最適な計画の立案を促進するためにワークフローを作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.治験薬には特定の管理・保管・調剤が必要であることを理解するB1.治験薬の管理・保菅・調剤に関する特定の方法や要素を明確に述べるC1. 治験薬の管理・保菅・調剤に関する特定の方法や要素を含む標準業務手順書を作成する
A2. 治験薬の管理・保菅・調剤について書かれた既存の標準業務手順書を特定し遵守するB2.治験薬の取り扱いにおける逸脱事項を特定し、報告する、または問題を解決するC2. 治験薬の取り扱いに問題が生じた際に、更なる逸脱が発生することを防ぐために是正・予防措置(CAPA)を講じる
例:施設における臨床試験のための治験薬の受領、保管、使用に関する標準業務手順書を整備し、適用する例:様々な状況下において、適切な環境下における保管状態の維持管理、出入庫管理、治験薬の記録報告(発注、受領、出入庫、破棄、移送)を実施し、臨床試験に参加している被験者への適切で安全な(治験薬の)供給を確保する例:FDAの規制やGCPに従って治験薬の管理を行うために監査を実施し、是正措置・予防措置(CAPA)を作成し、SOPを改訂する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.異なる分類の有害事象間の違いを認識するB1.様々な国際ガイドライン(FDA、EMA、ICHなど)で定められた重篤な有害事象・予測できない重篤な副作用の報告期限や必要事項を識別するC1. 各機関や団体が定める、予測できない重篤な副作用の報告要件を客観的に判断し、報告要件の更なる調和のために新しい提案を作成する
A2. 臨床試験実施時に重篤な有害事象が発生した際それを認識し、該当する規制当局で定められた期間以内に報告するB2.各者の役割(責任医師、CRA、治験依頼者)に応じて、重篤な有害事象を適切な機関(治験依頼者、規制当局、IRB/倫理審査委員会)に報告する
例:参考症例の有害事象を正確に分類する(有害事象、重篤な有害事象、予測できない重篤な有害事象、副作用など)例:治験実施期間中の重篤な有害事象を認知し、適切な報告期限内に適切な機関に報告する能力を示す例:各機関や団体が定める、予測できない重篤な副作用の報告要件を客観的に判断し、報告要件の更なる調和のために新しい提案を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.被験者は被験者保護とプライバシーの確保を受ける権利があることを理解し、また、国際的な規制は臨床試験実施時に被験者を守るために存在することを理解するB1.臨床試験実施時に、適切な被験者保護とプライバシー確保を保障する方策を適用するC1. 臨床試験において被験者保護とプライバシー確保のための戦略を立案する
A2. 被験者保護とプライバシーの確保に関する個別の規制を示すB2.被験者保護とプライバシー確保に関して、既存の国際的なガイドラインと国によって異なる各国のルールがあることを認識するC2. (被験者)保護とプライバシー確保のための戦略が適切か評価する
B3. 被験者保護とプライバシー確保に関して、既存の国際的なガイドラインと国によって異なる各国のルールがあることを認識するC3. 被験者保護とプライバシー確保のための、国内外の規制を加味した国際戦略を作成し実施する
例:国際的な、また国内や地域の規制やガイドラインにおける被験者保護とプライバシーの確保のための保護策について正確に説明する例:被験者が試験のために来院した際に実施する項目を説明し、被験者保護やプライバシーの確保に関する様々な国の規制当局や規制(連邦規制-FDA/アメリカ、EU指令と規制(EMA/EU)、J-GCP-PMDA/日本、C-GCP-CFDA/中国)、被験者のプライバシー確保に関するガイドラインに対応した適切な対策を特定する例:被験者保護やプライバシー確保に影響を与える可能性のある地域・国・国際的な医療状況、規範、民族性を対比させ、組み込んだうえで新しい臨床試験を計画する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床(試験の)モニタリングの論理的根拠、また適用される規則やICHガイダンスを認識し理解するB1.モニタリング業務/活動を完了するために、臨床(試験)モニタリング計画を採用し実施するC1. モニタリングのための施設訪問の計画と実施について指導し、モニタリングの取り組みを先導する
A2. モニタリング計画と標準業務手順書を順守するB2.最低限の監督と助言のもとに複雑なモニタリングに関する問題に対処するC2. 各試験に特化したモニタリング計画の作成と計画を監督する。特に、計画の中に、遅滞なくデータのレビューが行われるために適切なリソース配分がなされているか、また被験者の安全性とデータの完全性を守るためのすでに確立された基準が遵守されているか、に注意する。
A3. ガイダンスと管理の元、モニタリング計画に沿ってモニタリングを実行し、モニタリング計画に記されていない問題に直面した時に報告するB3.単純な、あるいはやや複雑なモニタリングに関する問題を解決するための助言をする
例: CROのモニタリング訪問に備えて、施設内における臨床試験の品質保証監査に参加する例:データの質を確保し、モニタリングによって発生するクエリに迅速かつ正確な対応を確実に実施するため、前もって設定したリスクベースドアプローチを適用する例:臨床試験モニタリング計画を作成し、全てのモニタリングに関する活動と作業フローが確実に各種規定を順守し監査に耐えうるものとなるよう、主導し、助言し、指導する。
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.監査・査察の準備に向けた手順を説明する基礎レベルのコンピテンシーを満たすこと、更に:
B1.治験依頼者・IRB・規制当局が実施する監査範囲の違いを認識する
C1. 治験依頼者または規制当局により実施される監査・査察へ向けた準備を監督する
A2. 監査を実施する権限のある団体の名前を挙げるB2.臨床試験監査において調査される研究の要素を特定するC2. 監査・査察の結果に応じてポリシーや標準業務手順書を作成する
A3. 監査・査察を規定する連邦の規制を特定し説明するB3.あらかじめ計画されたroutine auditと、重大な疑義が発生した場合に行われる”for-cause audit”と呼ばれる監査・査察を区別する
例: 臨床試験監査の準備を補助し、監査中の試験チームの役割を理解する例:プロトコルにおいて、監査担当者や査 察担当者から要請された特定の情報やデータの情報源を分類する例:監査報告書が発行された際に、監査・査察への対応として包括的な是正・予防措置(CAPA)の計画を立て、適切な標準業務手順書を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.安全性が臨床試験において重要な事項であることを理解し、安全性の監視が不十分な場合被験者を様々な面で危険にさらす可能性があることを理解するB1.適切な手段を通じ、定められた期間内に安全性報告を実施するC1. 臨床試験の実施時に起こりうる安全性の問題を予測する
A2. 臨床試験において被験者を守るために用いられるツールやプロセスを理解するB2.安全性の問題を分類し、規制当局やIRBに報告するC2. リスクを最小化するための施策を設ける
A3.安全性確保に支障をきたす疑いのある行為や出来事を確実に報告するB3.該当する機関(FDA、EMA、ICH等)が国際ガイドラインや要件に定める事項を実施するC3. モニタリングおよび安全性監視計画を客観的に考察し改善する
C4.試験チームへ向けた安全性に関する研修を提案し実施する
例: 糖尿病患者が長時間の試験来院中、絶食する必要がある際に、安全上の問題やリスクの低減、行動計画を特定する例:施設内での安全上の問題の取り扱い、有害事象の検知、報告に関する標準業務手順書を作成する例:未報告/報告不十分な有害事象をモニタリングにより指摘された場合に是正・予防措置計画とスタッフへのトレーニングを作成・実施する

試験および施設の管理

施設において、臨床試験を実施するために必要な経済的・人的要素。試験および施設オペレーションを含む(規制/GCP関連の要素は除く)。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.施設で新規の試験を選択するプロセスの基準となる決定要素に関して、基本的な知識を持つことを示すB1.試験の選択プロセスにおいて意見や助言を述べる。これには、施設が経済的に、また事業計画上試験を実施することが可能かどうかを評価する能力を含む。C1. プログラムまたは施設レベルでの試験の選択を指導する
A2. (選定)前施設評価訪問の目的を理解するB2.(選定)前施設訪問の調整・実施のサポートを行うC2. 科学的妥当性と価値 を考慮して、試験の選択に関する意思決定を表明する。具体的には、望ましいリスク対利益比、(経済的・事業計画面での)実施可能性を検討する
A3.オンラインまたは対面の(選定)前施設訪問に参加するC3. 試験の選択と参加に関する意思決定のプロセスを指導するための交渉・ツールの作成・ガイダンス文書の作成・ポリシーの作成を主導する
例:新規のプロトコル候補について、施設でその試験を実施可能にするために必要となることを理解する例:新規試験候補について予備的な予算見積もりを含む実施可能性チェックリストを記載する例:部署全体で使用する試験の実施可能性判断ツールを作成し、(試験実施の判断をするにあたっての)助言を行うに至った判断過程について評価する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験の予算の主要構成要素を特定するB1.臨床試験の実施に必要な予算・時間・人的リソースの質と量に関する提案を客観的に評価し変更を提案するC1. 臨床試験を実施するための予算、タイムライン、そして/または人的なリソースを獲得する
B2.マイルストーンと照らし合わせて臨床試験の進捗をモニターし、試験の実施中に傾向やリスクを特定する。リスク低減計画を実施するC2. (リスクの)傾向を特定し、低減計画を実施する
C3. 臨床試験の担当者を管理する
例:試験のための(被験者)来院を調整し、正しい依頼書と試験識別番号を使用して検査の依頼をし、それらに関する文書の追跡、調整を行うことができる例:プロトコル上の必須事項が確実にすべて含まれるように、試験の予算を分析する例:プロトコルの改訂に伴う新規の必須事項を反映し、臨床試験の実施における予測できない費用上の問題を解決するために、試験の予算とマイルストーン型のタイムラインを作成し、改訂する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.リスクを軽減するため臨床試験に組み込まれた仕組みを特定するB1.品質管理計画の重要性を特定し理解する。品質管理計画の全体像について教育するC1. 品質管理計画に関する研修プログラム(一般的なものと個別の試験に特化したもの)を開発し、その研修を実施する
A2. 臨床試験の運用と被験者の安全のためにリスクアセスメントがどのように実施されているか理解するB2.計画に定義されている通りにリスク低減策を段階的に実施し、その内容と適用について教育するための戦略を立案するC2. 臨床試験の主要業務評価指標を定義し、個別の試験に特化した品質管理計画に組み込む
C3. 主要業務評価指標の内部品質保証データを解釈し、是正措置・予防措置(CAPA)計画を通してリスクを低減する戦略を立てる
例:なぜ主要業務評価指標(への到達度)に支障が出たのか、考え得る理由(被験者がプロトコルに規定されているアローワンス内で試験のための来院を完了しなかったなど)と、リスクの発生を最小限に抑えることができる可能性の高い運用について明確に述べる例:主要業務評価指標(実施による到達度)の評価を元に、報告書を分析し、規定されているリスク低減策を実施する例:品質監査の指摘事項を分析・報告し、スタッフの会議において(リスク)低減のための協議課題として提示する かつ/または 品質管理システムがどのよう臨床試験に適用されるかをスタッフが確実に理解できるよう、品質管理教育プログラムに組み込む
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.募集率と保持率の期待値を明確に述べるB1.被験者の募集と保持の追跡データを解析し、変更の必要性を判断するC1. 重要な倫理的配慮をしながら、募集と保持の課題に対する革新的な解決策を提供する
A2. 被験者の募集と保持の実行・追跡のためのツール・戦略・方法を特定し使用するB2.募集と保持の把握および報告を行うための基本的な方法を確立するC2. それぞれの国と地域の規制要件をベースに様々な募集用のツールを提案する
A3.募集のための各ツールの使用に影響する国内規制と国際的なガイドラインについて説明するC3. 募集のための各ツールの使用に影響する国内規約と国際規約を適用する
例:被験者の募集と保持の確認に使用する文書やツールについて理解する例:年齢・性別・居住地などの試験母集団の要件を満たすような(被験者)募集プランを作成し、募集の助けとなるような参加募集チラシを作成してIRBに提出する例:(被験者の)募集または保持が開始したばかりの試験においてエビデンスに基づいた、また到達する/組み入れることが難しい集団に対して個別に必要な事柄を明確にした上で、革新的な解決策を生み出す。解決策には戦略の成功度合いを頻繁に確認することも含む
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.規制・施設のコンプライアンス監査のための規制関連文書と補助金・契約関連文書を整理し保菅するB1.法的文書(契約書、研究試料提供契約書、予算報告書、補償合意書、秘密保持契約書、利益相反報告書)を整理し適切に処理するC1. 組織における臨床研究が確実に法的・倫理的要件を満たして実施されるよう、システムを監視・管理し組織の各部門と協力する
A2. 規制に準拠する施設における、試験に関わる各法的文書(契約書、予算、補償、秘密保持契約、利益相反報告書、IRB承認)の目的を理解するB2.臨床試験の実施において法的リスクを低減するための標準業務手順書を作成し、そして/または準拠するC2. リスク低減戦略と関連する行動計画、と問題解決策を立案し客観的に評価する
C3.法的契約書(予算を含む)、秘密保持契約、利益相反文書に関して協議する
例:検体検査をベースとした研究プロジェクトにおいて、責任医師が冷凍保管庫から検体を入手し他の責任医師に送付することを依頼してきた場合、検体の発送前に研究試料提供契約書が締結されていることを確認するため、追加の助言を得る手段を知っている例:同意説明文書をレビューし、治験契約書に記載されている保障や賠償に関する文言が、プロトコルや同意説明文書、施設のポリシーの記載に沿っていることを確認する例:施設の利益相反委員として従事する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験の実施において、治験責任医師・治験依頼者・CRO・規制当局に適用される必須要件を記した規制やガイドラインを特定するB1.適用される規制を理解し明確に述べる。また、コンプライアンスを徹底するために確立されたプロセスを正確に行うC1. 規制に関する高度な知識と、規制ガイダンスを正確に解釈する能力を活用する。規制を日々の実践に結び付ける方法について指導する
A2. 治験責任医師を含む施設チームメンバー・治験依頼者・CRO・機関・FDA等の役割について説明するB2.コンプライアンスに準じた臨床試験の実施において発生するチームの様々な役割(治験依頼者、治験責任医師)とそれぞれの責任について説明するC2. 部門または施設レベルで規制の順守を確保するための戦略・ポリシー・手順を作成する
B3.コンプライアンスが、安全で倫理的な臨床試験の実施に与える影響について説明するC3.臨床試験のスタッフと治験責任医師の間で実施する定期的な試験関連のミーティングを計画し管理する
例:IRBへの提出が必要な同意説明文書、被験者募集関連文書を含む全ての規制関連文書を分類・保管する例:新規治験をIRBに提出するプロセスに対応する例:各々の責任レベルと業務の目的に応じて、試験の実施におけるスタッフの役割を明確に記載したデリゲーションログを作成する

データマネジメントとインフォマティクス(情報科学)

臨床試験実施中のデータの取得・管理方法。原データ、データ入力、クエリ、品質管理、データベース固定の概念および修正。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験に適用される統計とインフォマティクスの基本的な目的を理解する(無作為化、症例数、有害事象、分析、結果等)B1.無作為化を実施し、新規に登録された被験者を正確に選別するC1. 臨床試験の統計分析とデータマネジメント計画を作成する
B2.プロトコルで設定された課題(仮説)に応えるための統計上の必須要件を説明する
例:プロトコルと症例報告書をレビューする際、安全性と有効性のエンドポイントの分析に関連するデータポイントを認識する例:スタッフ向けのプレゼンテーションで試験における組み入れと安全性のデータをわかりやすく記載するため、記述統計を実施する例:プロトコルに沿って正確なデータが確実に収集できるよう、治験の症例報告書を作成し、記載のための注釈をつける
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床データマネジメントの基本コンセプトを説明するB1.実施中の臨床試験におけるデータの流れ(施設から臨床データベースへの流れ、臨床検査(結果)のアップロードや電子カルテの情報の転送といった他の情報源からのデータの流れなど)に関して臨床データマネジメント計画の全要素を適用する。C1. 臨床試験のための臨床データマネジメント計画を作成する
A2.臨床試験に寄与する様々なデータの情報源を特定し、データの取り扱いを左右する関連する業界の様々な基準を区別できるB2.クエリを管理し、臨床データの流れと質が、臨床データマネジメント計画が定める基準を満たしているか助言するC2.データマネジメントプロセスにおける新技術または業界全体での新たな取り組み(データの透明性とclinicaltrials.govの登録要件、またはデータシェアリングによるMRCTの新たな取り組みなど)を導入・実施する必要がある際に、既存の標準業務手順書を分析し改訂する
C3.臨床研究事業の全ての観点から、臨床データの実施と管理に関わる者の役割と責任について教育し指導する
例:データマネジメントプランで定義されているプロセスの業務フローと同様に目的と範囲を理解する例:事前に定義した仕様に基づいた正しいデータの転送を確実に実行するために、様々な情報源(電子的な原資料、第三者の情報源など)からのデータの流れを確認する例:データマネジメントプロセスとそのプロセスにおける責任医師・施設それぞれの役割を確認するための会議に参加する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験のデータマネジメントに関する標準的な方法と(より効率の良い)最良の方法を特定し適用するB1.臨床試験のデータマネジメントのための、業界・連邦・GCPで認められている標準的な方法と最良の方法を実施するC1. 業界として認められている基準、または最良の方法を適用したデータ収集・保存・管理・分析・報告の標準計画を含む、臨床試験のためのデータマネジメント計画を作成する
A2.臨床試験におけるデータ収集、保存、管理、分析、報告に関する標準的な方法と最良の方法に関連する文書やリソースを特定するB2.プロトコル毎の原資料の作成からデータの収集・入力、品質監査の実施まで、臨床試験全体におけるデータマネジメントを実施する
例:標準化された状況において(データの収集、記録、管理、分析、報告に関して)標準的な又は最良の方法を識別できる例:データを収集し、新規の電子的なデータ入力フォームに、タイムリー・正確に入力し、かつクエリの発生率が低い状況を作ることができる例:特定の試験について、データマネジメント計画に従ってCRFと記載のための注釈を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.データの品質を保証するためのプロセスを特定し理解するB1.データの品質関連の標準業務手順書を確実に遵守するC1. 臨床試験の実施における、データの品質に関連する標準業務手順書、または試験に特化した手順書を作成・定義する
A2.臨床試験で集めた個々のデータの帰属可能性、正確性、完全性、原データからの検証性を認識するB2.データの品質と関連するプロセスに関して、積極的・受動的に意見を述べ、自分の考えや知見を主体的かつ協調性をもって共有するC2.臨床試験チームに影響を与えるデータマネジメント関係のプロセスについてデータマネジメントチームに助言し、円滑で建設的な協力関係・コミュニケーションを築く
C3.データ品質関連の手順について試験スタッフをトレーニングし、コンプライアンス違反の疑いやリスクがある際には監督し、サポートする
例:原資料から電子的なデータ収集フォームにデータを入力し、修正する例:クエリの再発を防ぐため、eCRF(電子的症例報告書)のデザイン変更を治験依頼者に提案する例:施設や企業が定義するデータの質の標準化に準拠するよう、eCRFを作成する

リーダーシップと専門性

臨床研究におけるリーダーシップおよび専門性の原則と実践。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.. 職場において、身だしなみ・態度・職務倫理・製品の品質に対する専門家としての態度を示すB1.効果的なコミュニケーション手段と文書を使用し、試験管理の様々な側面においてしてサポートするC1. 研究部門におけるリーダーの役割を担う
A2.組織のリーダーシップの体制を特定するB2.基礎レベルのスタッフの研修を行い、監督するC2.新しいスタッフとチームメンバーに研修を行い、指導する
A3.研究部門の標準業務手順書を示し、理解し、順守するB3.複数の研究関連プロジェクトを管理する際に効果的な時間管理と優先順位付けによって組織をまとめる能力を示すC3.複数の複雑な研究業務を管理する
A4.研究の職務を実施する際、自発性とチームへの協調性を示すC4.試験の戦略的な計画の目標・目的を設定する
例:時間通りに出勤し、口頭及び文書の両方で簡潔・適切な方法で情報を明確に述べ、質問があるときには指示や指導を仰ぐ例:プロトコル実施のための会議を計画・実施する例:試験チームを管理し、予算を立て、臨床研究プロジェクトの契約締結を手助けする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験の実施における倫理面と科学性の対立の本質と、過去に起きた事例を説明するB1.臨床試験において倫理面と科学性の対立のリスクを最小化するための手順を認識・実施・管理するC1. 臨床試験に内在する倫理面と科学性の対立のリスクを評価する
A2.倫理面での衝突を防ぎ、リスク管理戦略をサポートするために実施されている手順を説明するB2.役割に応じた責任範囲においてリスク管理戦略を実践するC2.プロジェクトチームと機能的領域全般において、倫理面と科学性の対立のリスクを管理するために実施する戦略とポリシーを作成する
例:歴史的な文書(ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、CIOMS:人を対象とする研究における国際倫理ガイドライン)における研究倫理に関する概念がどのようにプロトコルに組み込まれているかを説明する例:臨床試験の正確性に対する倫理面・科学性のリスクを低減する方法でプロトコルに含まれる実施事項(被験者募集戦略や同意説明など)を整理・実施するとともに、試験チームのリスク管理の計画に参画する例:臨床研究・試験の実施にあたり存在する(倫理面・科学性両方の)潜在的なリスクを明確に述べ、部署またはプロジェクトチームでのリスク管理計画を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験が倫理的かつ科学的に実施されるための規制の基盤となる重要な文書を認識するB1.臨床試験の全ての側面に専門的・倫理的規制と国際ガイドラインを適用するC1. 組織の倫理規定が確実に国の法・規制および/または国際ガイドラインに準じたものとなるように、必要に応じて内部ポリシーや手順を評価し改訂する
A2.臨床試験の倫理規定を示す連邦規制と国際ガイドラインに記される、倫理的な、専門家としての行動の意味を特定し理解するB2.臨床研究期間を通して専門性を発揮し、倫理面に配慮した実施がなされる為に、適切な手順やプロセスが必要である事を行動や文書によって示すC2.臨床試験の全側面が倫理規定の範囲内で実施されるための内部プロセスや手順に関し、関わる試験チームとスタッフを教育し、指導する
例:FDAやICHの文書の中で臨床試験の倫理的な実施を確保するための主要な規制やガイドラインを特定する例:日々の業務や作業の中で、全ての確立されたプロセスや手順、規制、ガイドラインの適用を通して専門的な振る舞いや倫理面での一貫性を示す例:新規あるいは改訂されたすべての規制やガイドラインを反映するために確立した手順やプロセス、作業フロー(トレーニング文書など)を採用し、すべての国・地域別あるいは国際的な規制やガイドラインが確実に標準業務手順書やプロセスに反映されるようにする
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.臨床試験の実施に際し、地域的・文化的多様性を加味した戦略を取り入れることの重要性について説明するB1.試験をデザイン・実施する際に、地域・国および文化的に考慮すべきことを適用するC1. 複数の国や地域で試験を実施・デザインする場合に、文化および地域・国を考慮するための戦略や方法を立案する
A2.多様性または異なる文化を持つ人同士の関係性を理解する能力(cultural competency)が潜在的に与えうる影響の例を分類するB2.国際共同試験の実施において、適切な規制の必須要件を組み込むC2.国際共同試験の試験デザインに、関連規制の必須要件が組み込まれていることを立証する
例:多様性(年齢、民族性、人種、性別や宗教)のある被験者候補を対象とした臨床試験で多様性とcultural competenceに取り組むための戦略を提案する例:研究のアイディアを国際共同試験へと発展させる際に、文化や多様性に関する課題を認識する例:それぞれの国や地域で採用することのできる個別の戦略を提案し、新規の臨床試験を開始する際に文化的・地域的な特性への配慮を確保する

コミュニケーションとチームワーク

臨床試験実施施設内および施設と治験依頼者・CRO (Contract Research Organization)・規制当局の間でのコミュニケーション全般。臨床試験の実施に必要なチームワークスキルの理解。

A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.規制当局・治験依頼者・CRO・施設の間の関係性と、適切なコミュニケーションの手段について理解し説明するB1.書面および口頭で専門的なコミュニケーションを取ることにより、臨床試験の実施時に関係者との法的な関係および生産性の高い関係が維持できるようにするC1. 実施中、及び将来の臨床試験が効率的・効果的で持続可能なものであり続けるために、研究事業に携わる全ての関係者と長期に渡る良好な関係を築き、維持する
例:臨床研究業務において関係者間の書面および口頭での適切なコミュニケーションを取る
例:試験の実施に影響を及ぼすようなチームに関連する課題を解決するために文書及び口頭での積極的なコミュニケーションを進展させ、課題を解決するための方策について相互的な合意が得られるようにする例:研究に参画するすべての関係者のニーズを組み取り、以前の(試験の)不十分な結果がもたらす困難な状況の際にコミュニケーションのまとめ役として貢献する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.学術論文の主要な構成要素と、各構成要素の一般的な目的を特定するB1.論文発表された研究で使われた方法を説明し、その結果により導き出された結論の根拠を理解するC1. 既存の学術論文の全ての主要構成要素の内容を理解・評価し、深い理解に基づいた内容を伝える
A2.既存の学術論文は、一般化可能な知識とエビデンスに基づいた実践に寄与するため、体系的かつ系統立てて研究結果を記載していることを理解するB2. 特定の題材に関する論文を、キーワードを使い検索するC2.臨床試験の結果と、対象となる母集団および現在の医療事情との関係性を説明する
B3.専門的な文献を引用する際の一次資料と二次資料の違いを説明するC3.論文を書き編集し、また論文の編集の際に様々なジャーナルの引用スタイルを適用する
例:実施中のプロトコルに関連する発表済みの試験をレビューし、協議する例:一次資料のデータを用いて正確に文献を引用し(原本である一次資料(引用元)に戻ると、二次資料(引用先の情報)を探し出すことができる)、論文発表や専門家に向けたプレゼンテーション資料のためのアブストラクト(要約)を構成する例:臨床試験の結果を元に、原稿を執筆・編集し、かつ/または編集者からのコメントや提案に対応し、専門誌に受け入れられる、最終化された論文を作成する
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.学術論文の構成と内容を説明するB1.専門的なプレゼンテーションおよびその他の口頭または記述の手段を用いて、臨床試験の内容と価値を協働する人々や一般の人々に伝えるC1. 科学分野の人々または一般の人々へ向けた 臨床試験データを解釈・説明するための報告書をデザインし、臨床試験報告書の重要性を評価する
A2.科学分野の人々または一般の人々に臨床試験の結果を伝えるための信頼できる情報源を特定し利用するC2.協働する人々、情報発信する立場にある人々、一般の人々に対してプロトコルとその結果を周知し、より深い理解を促す
例:一般の人々が理解できるように臨床試験の科学的根拠を説明する例:記者クラブや被験者候補の集団のために研究・ 試験の非専門家向けサマリーを記載する例:臨床研究・試験の結果を治験依頼者、協働する人々、一般の人々に伝える
A.基礎レベルB. 中級レベルC. 上級レベル
A1.集学的チームの重要性とそれぞれのメンバーが臨床試験にもたらすことのできる価値を説明し理解するB1.臨床試験期間中を通して効果的なチーム運営を保証するために必要不可欠なメンバー同士での情報共有の要となる活動を特定し、その活動を促進するC1. 複数の専門職からなる臨床試験チームにおいて最も効果的に働くための方法を指導する
A2.チーム内の全てのメンバー、およびメンバーの役割と責任を特定・認識し、臨床試験チーム内のコミュニケーションが試験の成功に必要不可欠であることを理解するB2. コミュニケーション計画の策定における多職種横断型のチームについて理解していることを示すC2.臨床試験チームの基盤を築き、効果的で効率的なコミュニケーションとチームワークが確実に行われるようにする
C3.集学的なスキルを研究チームに取り入れる
例:臨床試験チームのすべてのメンバーの専門的な役割と臨床業務の領域を理解する例:効果的なチーム運営に必要不可欠な、日々の実務的な活動(会議の設定、コミュニケーション計画の策定、チーム内外の主要な連絡先の特定)を実施する能力を示す例:チームでのコミュニケーション、他職種間の知識の共有、トレーニング記録の維持管理等を実施するため、作業運用フローを確立し、試験チームを作る。チームがその効果を最大限発揮するために必要な場合、指導を行う